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「五月の夜、または身を投げた女」
Майская ночь, или утопленница
Майская ночь, или утопленница
(『ディカニカ近郊夜話』)
原作:N・ゴーゴリ
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前回、「生誕祭前夜」が、現在でも子供向けに劇場で上演されているという話をしました。
もともと『ディカニカ近郊夜話』という短編集は、子供向けに書かれた話というわけではありません。しかしユーモラスで、かつファンタジーにあふれる作風のため、今までにも何度かアニメーションや絵本になっています。
興味深い事実として、日本の児童書出版社も、戦後に「生誕祭前夜」をかつて世に出していました。昭和の本屋さんでは、この作品が児童書として置いてあったのでしょう。
これは私個人的なテーマですが、児童向けの作品としてゴーゴリをとらえる、ということをもっとやってみたいと思います。
実は私もかつて、同じ短編集「ディカニカ近郊夜話」の中から、「五月の夜、または身を投げた女」という作品を日本語に翻訳し、挿絵を付けるという試みをしました。去年の外語祭では、ヴァスネツォフやチャルーシンの名作絵本が並ぶ展示の中に、こっそりこれを入れて、来場者の方の感想を伺いました。(※販売する予定はありません。)
日本語版とロシア語版です。 |
字が多い大人向けの絵本です。 |
コサックたち。 |
ウクライナの村。 |
同じくウクライナのコサック村が舞台です。
季節は五月。空気が暖かく、澄んだ空にはきれいな月が浮かんでいます。
そんな中で、コミカルなキャラクターたちがドタバタ劇を演じます。そのドタバタと並行して、身を投げて死んだ女をめぐる不思議な怪奇現象が起こります。この話は色々な要素が何重にも重なったとても奥が深い小説だと思います。
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「五月の夜」は、ソ連時代に制作された映画が二種類あります。
Майская ночь (1940) фильм смотреть онлайн (1940年制作)
Майская ночь, или Утопленница (1952) фильм смотреть онлайн (1952年制作)
初めて見る時は 1952年版がおすすめです。
(文と画像:市川透夫)