ビデオ:
2022年2月24日付け ゼレンスキー・ウクライナ大統領のビデオメッセージ
偉大なるウクライナの偉大なる民よ。
約束通り、短く簡潔に一日のことを話します。本日我々は、我が国の防衛能力と耐久性を強化しました。我が国を守ってくれる戦士たちの背後を覆うべく、我々は30日間の予定でウクライナ全領域に非常事態宣言を導入しました。この決定は335名の最高会議議員によって採択されました。大防衛連合が動き始めたのです。最高会議はまた、防衛部門の資金に充てる追加資源に関するセットとなる決定を行いました。明日、全議員が各地域の国民を支援するために向かいます。我が国の国際パートナーたちはウクライナ支援のために最大規模で動員されています。我々はパートナーたちに先制的な制裁を行うよう説得することに成功しました。昨日、アメリカ合衆国は対ロシアの追加制裁を発動しました。本日米国はノルド・ストリーム2に対する制裁を発動しました。対ロシアの個別的・経済的制裁のセットは欧州連合も認めたものです。日本政府とオーストラリア政府も新たな制裁を発動しました。本日私はオランダのマルク・ルッテ首相と言葉を交わしました。マルク・ルッテ首相は、同国もまたセットの制裁を準備していると請け合いました。本日私はキエフで、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領ならびにリトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領と会見しました。我々は会談の結果、共同声明に署名しました。その中では、我々のポーランドとリトアニアの朋友が、欧州連合メンバーへの候補としての地位をウクライナに提供することを支持していると明言されています。本日我々は国連総会に具体的行動を行うことを呼びかけました。すなわち国際平和維持部隊をウクライナに送ることです。私はウクライナの大実業界の代表者たちと会見しました。私たちは、彼らがみな自らのチームと共にウクライナにいるということで同意しました。ありがとう。彼らはウクライナを守るために働いている。私たちは、全ての政治勢力と同意した。すなわち最も早いうちに最高会議は経済に関する諸法律のセットを採択すべきであると。それは「経済的愛国主義」です。ウクライナを助けてくれているすべての人に感謝します。これからも動いていきましょう。
ここからはロシア語で話します。
本日私はロシア連邦大統領との電話会談のイニシアチブをとりました。その結果は、無音でした。とはいえ無音は、ドンバスにおいてあるべきでしょう。したがって本日は、ロシア国民のみなさんに向けて話したいと思います。私は大統領としてではなく、一人のウクライナ国民として、ロシア国民のみなさんに話しています。
私たちとみなさんは、全長2000キロメートル以上の国境で分かたれています。いまそれに沿い、あなたがたの軍隊が立っています。20万人以上の兵士、1000台の軍事車両です。みなさんの指導者は一歩先へ、他の国の領域へ入ることを是認しました。そしてこの一歩は、もしかしたらヨーロッパ大陸における大きな戦争の始まりになるかもしれません。一日また一日と起こっていくかもしれないことについて、いま世界中が話しています。その原因はあらゆる瞬間にも生じうるものです。あらゆるセンセーションが、あらゆる火花が。すべてを燃やし尽くす火花が。
みなさんは聞かされています。この炎がウクライナの民の開放をもたらすと。しかしウクライナの民は自由です。ウクライナの民は過去を記憶していて、自ら未来を建設しています。建設いているのであり、みなさんの国で毎日テレビで語られるがごとく破壊しているのではありません。みなさんの国でのニュースの中のウクライナと、現実の世界でのウクライナは、全く別の国です。そして差異で重要なこととは、私たちの方が本物であるということです。
みなさんは聞かされています。私たちがナチであると。しかしまさか、ナチズムに打ち勝つために800万もの命を犠牲にした民が、ナチズムを支持することができるでしょうか?どうして私がナチになれるでしょうか?そのことを、戦争の間ずっとソビエト軍の歩兵として過ごし、未独立のウクライナの指揮官として死んだ私の祖父に話してみてください。
みなさんは聞かされています。私たちがロシアの文化を憎んでいると。どうやって一つの文化を憎むことができるでしょう?隣人とは、常にお互いに文化的に豊かにしあっていくものです。しかしそれで隣人どうしが一つになるわけではありません。私たちが、みなさんの中に溶け込んでいくのではありません。私たちは別々ですが、それは敵になる理由にはなりません。私たちは自らの歴史を確定して建設していくことを望んでいます。平和に、平穏に、誠実に。
皆さんは聞かされたことがあります。私がドンバスを攻めるよう命令すると。問題がないのに射撃し、爆撃するようにと。しかし問題はあります。誰を射撃するかです。何を爆撃するかです。私が何十回も訪れたことのあるドネツクを?顔が、目が見えました。友人たちと一緒に遊んだアルチョーマ通りを?ユーロ(欧州選手権)で地元の人たちとウクライナの男子選手たちを応援したドンバス・アリーナを?ウクライナ選手たちが負けたのでみんなで飲んでいたシチェルバコフ公園を?私の最高の友人の母が住んでいる家があるルガンスクを?私の最高の友人の父が眠る場所を?ご注意ください、私はいまロシア語で話していますが、誰もロシアでは、この地名や通りの名や出来事がなんのことか、誰も理解していません。みなさんにとってはこれは他人事なのです。見知らぬものなのです。これは私たちの土地、私たちの歴史です。なんのために、そして誰と戦争をする必要がありますか?みなさんの中では多くの方がウクライナにきたことがあります。みなさんの中で多くはウクライナに家族がいます。ウクライナの学校で学んだ人がいます。ウクライナ人と親しくなった人がいます。みなさんは私たちの性格を知っています。みなさんは我が国の人たちを知っています。私たちの原理を知っています。私たちが何を大切にしているか、みなさんには明らかです。ですから自分の心の声に、理性の声に、耳をすませてください。私たちの声が聞こえるでしょう。ウクライナの国民は平和を望んでいます。ウクライナの政権は平和を望んでいます。望んでいるし実行しています。すべてを、できることすべてを実行しています。
私たちは同じ国ではありません。これは事実です。大多数の国がこのことについてウクライナを支持しています。なぜか?なぜなら話しているはあらゆることを犠牲にした平和ではなく、平和と原則について、公正について、国際的な権利についてだからです。自らを規定する権利について、自らの未来を自ら規定する権利についてだからです。一つ一つの社会が安全である権利、一人ひとりが脅威なく生きていく権利についてだからです。これが、私たちにとって大切なもののすべてです。これが世界にとって大切なもののすべてです。私はこれがみさなんにとっても大切であることを確かに知っています。私たちは確かに知っています。私たちには冷たい戦争も、熱い戦争も、その二つの混ざった戦争も。しかしもし私たちが攻められることがあれば、もし私たちから自分の国が、自由が、命が、私たちの子どもたちの命が奪い取られそうになったら、私たちは身を守ります。攻めるのではなく、身を守るのです。攻めることをすれば、みなさんは私たちの顔を見ることになります。背ではなく、顔です。戦争とは大きな悲劇です。その悲劇では大きな犠牲が、あらゆる意味での犠牲が払われます。人々は、財産も名誉も生活水準も自由も失いますが、もっとも重大なことは、人々が近しい人を失うことです。自分自身を失うことです。戦争では常に、あらゆるものが足りなくなります。ありあまるのは、痛み、汚れ、血、死です。何千何万もの死です。
みなさんは聞かされています。ウクライナはロシアに脅威をもたらすと。これは過去にもなく、現在もなく、将来もない。みなさんはNATOの安全保障を要求しています。私たちもウクライナの安全、安全保障を、あなたがた、ロシアから、そしてブダペスト覚書のその他の保障国から要求します。現在私たちは、あらゆる防衛協定の外側にいます。ウクライナの安全は、私たちの隣国の安全と結びついています。したがって今は全ヨーロッパの安全について話をしなければなりません。しかし私たちの第一の目的は、ウクライナの平和と我が国民であるウクライナ人たちの安全です。そのために私たちはこのことをすべての人々と、話す心構えであり、その中にはみなさんもいます。様々な形式の様々な場において。戦争は全ての保障を奪い去ります。安全の保障は誰のもとからもなくなることになるでしょう。このことで誰が最も苦しむことになるか?人々です。このことを最も望んでいないのは誰でしょう?人々です。このことを許さないのは誰でしょう?人々です。この「人々」が、みさなんの中にいることは、私は確信しています。社会活動家、ジャーナリスト、音楽家、俳優、スポーツ選手、学者、医師、ブロガー、スタンドアップコメディアン、ティックトッカー、その他多くのふつうの人々。ふつうの人々です。男性、女性、お年寄り、子どもたち、父親たち、そして何より大切なのは、母親たち。ウクライナにいる人々も等しく同じです。そしてウクライナの政府もです。どれだけみなさんが逆のことを説得されたとしても。私は、この自分のメッセージがロシアのテレビ放送では流ないことは分かっています。しかしロシア国民は見なければなりません。ロシア国民は事実を知らなければなりません。事実とは、立ち止まらなければならないということです。遅くないうちにです。そしてロシアの指導部が平和のために私たちとテーブルに着くことを望まないのなら、指導部はみなさんとテーブルについてくれるでしょうか?ロシア人たちは戦争を望んでいますか?私はこの問いに答えたい気持ちが強くあります。しかし答えはみなさん、ロシア連邦の国民のみなさん次第という以外ありません。
ご清聴ありがとうございました。