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バーバ・ヤガー
Баба-Яга
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ロシアのおとぎ話の中でも悪役の代表格、バーバ・ヤガー(ヤガーばあさん)。人間を食べてしまう鬼ばばあなので、向こうでは、「悪いことすると、バーバ・ヤガーに連れ去られますよ」なんて言って子供をしつけている家庭もあるとか。ちなみにうちの母は「ヤマンバが来るよ」といって脅していました。
バーバ・ヤガーは、ロシアの森にすむ魔女です。日本人の魔女のイメージは、黒い服で帽子をかぶって、ホウキに載って空を飛ぶイメージがあります。いっぽう、ロシアの魔女は、木の臼に乗って空を飛び、自分の飛んだ跡をホウキで掃いて消しています。こんな姿で、子供を連れ去らいにやってきます。あんまりイメージがわきづらいので、誰か絵にしてないかなーと思ったのですが、画家のヴィクトル・ヴァスネツォフのこんな作品がありました。
『バーバ・ヤガー』(1917年)
確かに木の臼に乗って空を飛んでいます。ついでに女の子を連れさらっています。ただし、おばあさんというよりは、おじいさんに見える。
では、この鬼ババアは、子供をさらって、自分の棲み家まで連れていくのですが、住んでいる家にも特徴があります。
バーバ・ヤガーの家は、森の奥にある「ニワトリの脚がついた木の家(избушка на курьих ножках)」と言われています。田舎の丸太小屋に、そのままニワトリの脚が付いているわけです。脚が付いているということで、同じ場所をくるくる回ったり、動いたりします。奇想天外、あるいは、いまの感覚でいう「シュール」といったところでしょうか。
(撮影場所:ロシア連邦コストロマー市、木造建築博物館)
ニワトリの脚がついた木の家を、再現したものです。森の奥に、こんな家を構えて怪しく暮らしているわけです。ちなみに、おとぎ話の中では、この家を囲む柵が、人の骨でできていたりして、非常におそろしいわけです。ただしニワトリの脚が付いているのがヒョウキンというか、あんまり怖すぎないというか。
おとぎ話ということで、伝承のされ方にも地域差があるので、バーバ・ヤガーについて調べていると、これはなかなか一筋縄ではいかないなーと思いました。が、このロシアの魔女についての大まかなイメージは大体以上のようです。
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バーバ・ヤガーについて知ることができる絵本
『バーバ・ヤガー』 アーネスト・スモール著、ブレア・レント絵、こだまともこ訳
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BB%E3%83%A4%E3%82%AC%E3%83%BC-%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%88-%E3%82%B9%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4924938912
(筆者・市川)