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『こねこのガフ』
Котёнок по имени Гав
グリゴリー・オステル
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ロシア語で、動物の鳴き声を書くとこうなります。
ネコ … мяу-мяу ミャウミャウ
イヌ … гав-гав ガフガフ
ウシ … му-му ムムー
ウマ、ロバ … иго-го イゴゴー
ヤギ、ヒツジ … беее べー
オンドリ … Ко-ко-ко! Кукареку! コココ!クカリクー!
日本語と似ているのもあれば似ていないのもあるのが分かります。日本人には猫の鳴き声が「ニャー」と聞こえるのを、ロシア人は「ミャウ」だと思っているわけです。実際にはどっちが近いのでしょうか。
あるいは、日本のネコは日本語で「ニャー」と鳴き、ロシアのネコはロシア語で「ミャウ」と鳴いているともいえるわけです。そうすると外国産のネコは日本に来た時、言葉が分からなくて困ったろうなあなんて考えるわけです。
ちなみにロシア語ではこれに加えて、「猫がニャーと鳴く」というのを一つの単語で表す動詞(мяукать)や、「メエと鳴く」という意味の動詞(блеять)もあります。
さらに言うと、動物の名前をロシア語で覚えるにしてもオスかメスかで形が違うし、動物が赤ちゃんならまた特別な言い方をします。たとえばネコであれば、オスネコはコート、メスネコはコーシカ、さらに仔猫のときはカチョーナク、という風に形が変わるわけです。ときどき、偶然道を歩いていたネコみたいに、性別が分からない場合がありますが、そのときは仕方ないので、メスのほうの形(コーシカ)を言うのがふつうです。
こんな風に、動物についてだけで、いろいろ覚えることが多いのも、ロシア語は難しいといわれる理由の一つではないかと考えられます。
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ところでロシアにはこんな本があります。
「こねこのガフ」
Котёнок по имени Гав
ガフという名前の仔猫が、犬やネズミと大騒ぎを起こす話です。アニメもあります。
ところで「ガフ」という仔猫の名前、上にあげた中でいうと、イヌの鳴き声(ガフガフ)とそっくり、というより、イヌの声そのもの。ネコなのに、イヌの鳴き声が名前になるなんて。これは、ネコに「ワンワン」という名前をつけるくらいひねくれた発想なのです。ですが、このひねくれた発想というのが、この本の、さらには児童文学作家オステルの大きな特徴であります。
グリゴリー・オステルの作品はいろいろあって、近年は日本語にも翻訳されています。
日本では児童向けの作品の一つにアンパンマンというのがあって、悪いことをするバイキンマンを、いい子の味方アンパンマンがやっつけるお話です。しかしオステルの作品はそれとは違って、どこかシニカルで、時にいたずらっ子の方が勝ってしまうようなところもあります。まともないい子であればネコにワンワンなんていう名前は付けないと思うのですが、あまり「これならこうする」という当たり前になってしまった「いい子の標準」を押し付けるよりも、そういう変な話の方が、子供にとっては面白いこともあります。
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ソビエトのアニメは、アニメ配給会社ソユーズ・ムリトフィリムが、YouTubeで無料に公開している。
ほとんどの作品が10~20分ほどなので、少しの時間を見つければ気軽に楽しめる。
'Котёнок по имени Гав', все серии мультика котика ГАВ
→https://www.youtube.com/watch?v=CdzluBuo5DU
(筆者:市川)
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