前回はヤロスラブリをご紹介しましたが、今回はコストロマーについてです。
コストロマーは、ヴォルガ河畔にある歴史ある町です。
水運や商業で発展した町なので、おみやげ品も、船や市場をモチーフにしたものが多いです。
真冬にいったため、あたりは雪でおおわれ、気温はマイナス20度でしたが、だからこそ旅は印象的なものとなりました。
コストロマーはとても素敵な町なので、夫婦や恋人と行くにもうってつけです。
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ロシアの古都へ ~コストロマー~
В Кострому, древний русский город
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モスクワからコストロマーは北へ340キロ。汽車は夜行列車しか通っていませんでした。
夜12時くらいに出発し、到着は朝6時。
到着したときにはまだ暗く、お店はどこも閉まっていて、ホテルのチェックインもまだ先。しばらく駅の中でひと眠りすることにしました。
明けてきたので、駅からバスに乗って、街の中心部まで行きます。
町の中心「スサーニン広場」。
イワン・スサーニンは、現コストロマー州出身の農民ですが、
17世紀のポーランドのロシア襲撃の折に、
命をかけて国を守ったことから、ロシアの英雄となっています。
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ふつうロシアの古い町といえば、クレムリン(お城の跡)がありますが、この町はクレムリンは見たところありません。残っていないのか、それとも無かったのか。
かわりに、町の中心に、二つの商業アーケードが、向かい合うように並んでいます。アーケードの敷地に入ると、にぎやかな市場です。
クリスマスが近かったため、あちこちのお店で、お菓子やプレゼントが売っていました。
アーチがいくつも並んだ、趣のある商業アーケード。 |
こういった昔ながらの市場が多いのも、
ロシアの魅力です。
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これからホテルに向かいます。
さすが冬のロシア、ヴォルガ河が、凍ったまま雪で覆われています。
ふと、私がむかしロシア語の教科書で読んだ一文が頭に浮かびました。
Зимой Волга спит под снегом, а сначала весны до конца осени она живёт.
「冬、ヴォルガは雪の下で眠っているが、春の初めから秋の終わりまで、河は生きている」
河が雪の下で眠っているとはこういうことなのか、と初めて分かったのです。
そしてこれがホテルです。
このホテルはもともと、船の船着き場だったところですが、それを宿泊できるように作り直したところです。窓からはオーシャンビューならぬリバービューが見え、雰囲気は最高です。
ちなみに値段も一般的で、朝食付きなので、非常にオススメです。
これから観光です。
一番の名所、「イパーチエフスキー修道院」に向かいます。
路線バスに乗り、橋を渡って、ヴォルガ河の向こう岸へ行きます。
橋の上から、向こう岸のイパーチエフスキー修道院を望む。 |
中世ロシアの世界へ。
中には、聖堂や、僧房があり、ロシアの歴史と宗教を伝える展示があります。
金の糸で織った刺繍のようです。 |
外を出ると、もう真っ暗になっていました。
冬のロシアは、一日が非常に短く、午後5時にもなればもう真っ暗になってしまうのです。
都会のネオンになれていましたが、
この暗闇に入ると、ふと原始的な気持ちになり、
「中世のロシアも、夜はこれより暗かったんだなあ」と思いを馳せるわけです。
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この日、もう一つ行きたい場所があったのです。それは、「木造建築博物館」。敷地の中に、木造建築が集まって、村のようになっている場所です。
暗くなって、もうとっくのとうに閉まっているのでしょうが、ダメ元で行ってみることに。
...やっぱり門が閉まっていました。
コストロマーへの滞在は二日、翌日の夕方には町を出なければならないので、そうすると明日のスケジュールはどうなるだろう、などと思案に暮れていました。
するとそこへ、ニャーと言いながら一匹のネコが近づいてきました。
おそらく博物館で飼っているネコなのでしょうが、夜の間、博物館を守っているのかもしれません。
ネコはまだ小さく、しかしとても人懐っこく、私へとすり寄ってきたのです。こんな寒いところで私のような旅人に寄ってくるネコが、なんだか可哀そうになってしまいました。
明日もまた来るからね~と約束して、とりあえず帰ることに。
朝まだき、ホテルからの眺め。ヴォルガ河は凍っている。 |
昨日は入れなかった木造建築博物館へ。
ロシア各地の木造建築が集められた、公園のようなところです。夏はさまざまなイベントをやっていて、家族連れで賑わうようですが、冬にはほとんど人影がなく、ときどき風吹が吹き、あたりは荒涼としています。
ロシアの民話に出てくる「ペチカ」という暖炉が見られ、農民の暮らしも分かります。
ロシアのフォークロアの世界を勉強するには、このような場所がうってつけです。
バーバ・ヤガーが住んでいる、「ニワトリの足がついた家」です。 |
さて、ひとしきり展示を見たところで、私は思わぬ再開を果たしました。
あのネコ!!!
またも私に近寄ってきて、ニャー、ニャーと、何かを話しています。
私のことを覚えてくれていたのでしょうか、それともただ人懐っこいのか...
建物に目をやると、けっこう仲間がいるみたいです。
再会したネコは頭をなでてやりました。旅の出会いは一期一会、次に会えるときはいつになることか...
この他に、コストロマーの生物博物館や、教会などをいろいろと見ましたが、何よりも印象に残ったのはこのネコでした。
というわけで一泊二日のコストロマー旅行は終わり、夕方、長距離バスに乗って、真冬の古都を離れました。
長距離バスは夜行列車よりも本数が多いので、時間帯によってはこちらもおすすめです。
(市川透夫)
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