2022年2月25日金曜日

ゼレンスキー大統領のビデオメッセージ(全訳)

ビデオ:

https://www.president.gov.ua/videos/zvernennya-prezidenta-ukrayini-pro-posilennya-oboronozdatnos-2013

2022年2月24日付け ゼレンスキー・ウクライナ大統領のビデオメッセージ

偉大なるウクライナの偉大なる民よ。

 約束通り、短く簡潔に一日のことを話します。本日我々は、我が国の防衛能力と耐久性を強化しました。我が国を守ってくれる戦士たちの背後を覆うべく、我々は30日間の予定でウクライナ全領域に非常事態宣言を導入しました。この決定は335名の最高会議議員によって採択されました。大防衛連合が動き始めたのです。最高会議はまた、防衛部門の資金に充てる追加資源に関するセットとなる決定を行いました。明日、全議員が各地域の国民を支援するために向かいます。我が国の国際パートナーたちはウクライナ支援のために最大規模で動員されています。我々はパートナーたちに先制的な制裁を行うよう説得することに成功しました。昨日、アメリカ合衆国は対ロシアの追加制裁を発動しました。本日米国はノルド・ストリーム2に対する制裁を発動しました。対ロシアの個別的・経済的制裁のセットは欧州連合も認めたものです。日本政府とオーストラリア政府も新たな制裁を発動しました。本日私はオランダのマルク・ルッテ首相と言葉を交わしました。マルク・ルッテ首相は、同国もまたセットの制裁を準備していると請け合いました。本日私はキエフで、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領ならびにリトアニアのギターナス・ナウセーダ大統領と会見しました。我々は会談の結果、共同声明に署名しました。その中では、我々のポーランドとリトアニアの朋友が、欧州連合メンバーへの候補としての地位をウクライナに提供することを支持していると明言されています。本日我々は国連総会に具体的行動を行うことを呼びかけました。すなわち国際平和維持部隊をウクライナに送ることです。私はウクライナの大実業界の代表者たちと会見しました。私たちは、彼らがみな自らのチームと共にウクライナにいるということで同意しました。ありがとう。彼らはウクライナを守るために働いている。私たちは、全ての政治勢力と同意した。すなわち最も早いうちに最高会議は経済に関する諸法律のセットを採択すべきであると。それは「経済的愛国主義」です。ウクライナを助けてくれているすべての人に感謝します。これからも動いていきましょう。

 ここからはロシア語で話します。

 本日私はロシア連邦大統領との電話会談のイニシアチブをとりました。その結果は、無音でした。とはいえ無音は、ドンバスにおいてあるべきでしょう。したがって本日は、ロシア国民のみなさんに向けて話したいと思います。私は大統領としてではなく、一人のウクライナ国民として、ロシア国民のみなさんに話しています。

私たちとみなさんは、全長2000キロメートル以上の国境で分かたれています。いまそれに沿い、あなたがたの軍隊が立っています。20万人以上の兵士、1000台の軍事車両です。みなさんの指導者は一歩先へ、他の国の領域へ入ることを是認しました。そしてこの一歩は、もしかしたらヨーロッパ大陸における大きな戦争の始まりになるかもしれません。一日また一日と起こっていくかもしれないことについて、いま世界中が話しています。その原因はあらゆる瞬間にも生じうるものです。あらゆるセンセーションが、あらゆる火花が。すべてを燃やし尽くす火花が。

みなさんは聞かされています。この炎がウクライナの民の開放をもたらすと。しかしウクライナの民は自由です。ウクライナの民は過去を記憶していて、自ら未来を建設しています。建設いているのであり、みなさんの国で毎日テレビで語られるがごとく破壊しているのではありません。みなさんの国でのニュースの中のウクライナと、現実の世界でのウクライナは、全く別の国です。そして差異で重要なこととは、私たちの方が本物であるということです。

みなさんは聞かされています。私たちがナチであると。しかしまさか、ナチズムに打ち勝つために800万もの命を犠牲にした民が、ナチズムを支持することができるでしょうか?どうして私がナチになれるでしょうか?そのことを、戦争の間ずっとソビエト軍の歩兵として過ごし、未独立のウクライナの指揮官として死んだ私の祖父に話してみてください。

みなさんは聞かされています。私たちがロシアの文化を憎んでいると。どうやって一つの文化を憎むことができるでしょう?隣人とは、常にお互いに文化的に豊かにしあっていくものです。しかしそれで隣人どうしが一つになるわけではありません。私たちが、みなさんの中に溶け込んでいくのではありません。私たちは別々ですが、それは敵になる理由にはなりません。私たちは自らの歴史を確定して建設していくことを望んでいます。平和に、平穏に、誠実に。

皆さんは聞かされたことがあります。私がドンバスを攻めるよう命令すると。問題がないのに射撃し、爆撃するようにと。しかし問題はあります。誰を射撃するかです。何を爆撃するかです。私が何十回も訪れたことのあるドネツクを?顔が、目が見えました。友人たちと一緒に遊んだアルチョーマ通りを?ユーロ(欧州選手権)で地元の人たちとウクライナの男子選手たちを応援したドンバス・アリーナを?ウクライナ選手たちが負けたのでみんなで飲んでいたシチェルバコフ公園を?私の最高の友人の母が住んでいる家があるルガンスクを?私の最高の友人の父が眠る場所を?ご注意ください、私はいまロシア語で話していますが、誰もロシアでは、この地名や通りの名や出来事がなんのことか、誰も理解していません。みなさんにとってはこれは他人事なのです。見知らぬものなのです。これは私たちの土地、私たちの歴史です。なんのために、そして誰と戦争をする必要がありますか?みなさんの中では多くの方がウクライナにきたことがあります。みなさんの中で多くはウクライナに家族がいます。ウクライナの学校で学んだ人がいます。ウクライナ人と親しくなった人がいます。みなさんは私たちの性格を知っています。みなさんは我が国の人たちを知っています。私たちの原理を知っています。私たちが何を大切にしているか、みなさんには明らかです。ですから自分の心の声に、理性の声に、耳をすませてください。私たちの声が聞こえるでしょう。ウクライナの国民は平和を望んでいます。ウクライナの政権は平和を望んでいます。望んでいるし実行しています。すべてを、できることすべてを実行しています。

私たちは同じ国ではありません。これは事実です。大多数の国がこのことについてウクライナを支持しています。なぜか?なぜなら話しているはあらゆることを犠牲にした平和ではなく、平和と原則について、公正について、国際的な権利についてだからです。自らを規定する権利について、自らの未来を自ら規定する権利についてだからです。一つ一つの社会が安全である権利、一人ひとりが脅威なく生きていく権利についてだからです。これが、私たちにとって大切なもののすべてです。これが世界にとって大切なもののすべてです。私はこれがみさなんにとっても大切であることを確かに知っています。私たちは確かに知っています。私たちには冷たい戦争も、熱い戦争も、その二つの混ざった戦争も。しかしもし私たちが攻められることがあれば、もし私たちから自分の国が、自由が、命が、私たちの子どもたちの命が奪い取られそうになったら、私たちは身を守ります。攻めるのではなく、身を守るのです。攻めることをすれば、みなさんは私たちの顔を見ることになります。背ではなく、顔です。戦争とは大きな悲劇です。その悲劇では大きな犠牲が、あらゆる意味での犠牲が払われます。人々は、財産も名誉も生活水準も自由も失いますが、もっとも重大なことは、人々が近しい人を失うことです。自分自身を失うことです。戦争では常に、あらゆるものが足りなくなります。ありあまるのは、痛み、汚れ、血、死です。何千何万もの死です。

みなさんは聞かされています。ウクライナはロシアに脅威をもたらすと。これは過去にもなく、現在もなく、将来もない。みなさんはNATOの安全保障を要求しています。私たちもウクライナの安全、安全保障を、あなたがた、ロシアから、そしてブダペスト覚書のその他の保障国から要求します。現在私たちは、あらゆる防衛協定の外側にいます。ウクライナの安全は、私たちの隣国の安全と結びついています。したがって今は全ヨーロッパの安全について話をしなければなりません。しかし私たちの第一の目的は、ウクライナの平和と我が国民であるウクライナ人たちの安全です。そのために私たちはこのことをすべての人々と、話す心構えであり、その中にはみなさんもいます。様々な形式の様々な場において。戦争は全ての保障を奪い去ります。安全の保障は誰のもとからもなくなることになるでしょう。このことで誰が最も苦しむことになるか?人々です。このことを最も望んでいないのは誰でしょう?人々です。このことを許さないのは誰でしょう?人々です。この「人々」が、みさなんの中にいることは、私は確信しています。社会活動家、ジャーナリスト、音楽家、俳優、スポーツ選手、学者、医師、ブロガー、スタンドアップコメディアン、ティックトッカー、その他多くのふつうの人々。ふつうの人々です。男性、女性、お年寄り、子どもたち、父親たち、そして何より大切なのは、母親たち。ウクライナにいる人々も等しく同じです。そしてウクライナの政府もです。どれだけみなさんが逆のことを説得されたとしても。私は、この自分のメッセージがロシアのテレビ放送では流ないことは分かっています。しかしロシア国民は見なければなりません。ロシア国民は事実を知らなければなりません。事実とは、立ち止まらなければならないということです。遅くないうちにです。そしてロシアの指導部が平和のために私たちとテーブルに着くことを望まないのなら、指導部はみなさんとテーブルについてくれるでしょうか?ロシア人たちは戦争を望んでいますか?私はこの問いに答えたい気持ちが強くあります。しかし答えはみなさん、ロシア連邦の国民のみなさん次第という以外ありません。

ご清聴ありがとうございました。

(訳:市川透夫)

2021年10月23日土曜日

ロシアのお茶とコーヒー、そしてハチミツ

ロシアではもともと、クワス(黒パンからつくるビールのようなもの)やモルス(ベリーの実のジュース)などが飲まれていました。

ロシアに初めてお茶が伝わるのは1638年、モンゴルのハーンがロマノフ朝初代のミハイル・ロマノフに献呈したときで、それ以後は中国から輸出されるようになりました。そして18世紀にロシアの様々な階層でお茶を飲む習慣が広がりました。やがてロシアでは「サモワール」と言われる湯沸かし器が使われるようになりました。サモワールには大きな卓上版のほかに、旅行用の小さなものもあります。

一方コーヒーは、改革で知られるピョートル1世によってもたらされました。1740年には初めてのコーヒーショップがペテルブルグに登場します。詩人プーシキンの代表作「エヴゲーニー・オネーギン」では、オネーギンがコーヒーを飲むシーンが登場します。

モスクワでお茶とコーヒー、そしてそのお供のお菓子を買える有名なお店といえば、ミャスニツカヤ通りにある「チャイ・コーフェ」です。お店の中に入った瞬間にカフェインの魅力的なにおいとチョコレートの甘い香りがただよってきて酔いそうになるほどです。




ここでなくても、スーパーなどで普通のお茶、さまざまなフレーバーのついたハーブティー、が手に入るほか、お菓子(ここではコンフェーティといって、飴やチョコーレートのボンボンを丸く包んだもの。)は大量に棚に入っているのを掴んで量り売りしているところもあります。

ロシアではとりわけ鉄道などでお目にかかるのが、透明のコップと、それをはめて使う「パトスタカーンチク」と呼ばれる取っ手付きのコップ入れです。透明のコップをそのまま触るには暑いので、ケースに入れて使うわけです。

またロシアでは風邪をひいたときに一番言われているのが、ハチミツを入れた紅茶です。ハチミツに関しては、ロシアでは定期的にハチミツ市が開催され、モスクワの公園などでも見かけます。各地のいろんな花から採取したハチミツを試食しながら選ぶことができます。

そして話はハチミツへ

ロシア語ではクマのことをメドヴェーヂというのですが、これはメド(ハチミツ)とヴェーヂ(食べる者)から来た語で、おそらく本来はクマを直接さす言葉があったのですが、森に住むロシア人にとってクマは天敵、直接その名を口にするのは不吉なこととされたのか、このような遠回しの言い方が定着しました。

なお、ウクライナ語でクマという場合、ヴとメの音が入れ替わってヴェドメーチになっています。これはいわゆるメタテーゼ(音位転換)と呼ばれる現象で、日本語で言うなら「あきばはら」が「あきはばら」になったという例があります。

ハチミツといえば、ハチミツを使ったお酒「メダヴーハ」は定番のお酒で、ウォッカより歴史が深いです。アルコール度数は3~5パーセントとあまり強くなく、甘いビールのような風味なのであまり強くない人でも飲めます。

ロシアの伝承おとぎ話の世界では、物語の締めくくりの定型文としてこのようなものがあります。「こうして無事王子様とお姫様魔は結婚したとさ。そのお祝いは飲めや歌えの大騒ぎで、私もそこに参ってハチミミツ酒を飲もうとしたが、ヒゲをつたって流れてしまい、一口も入らなかった」ここにもハチミツ酒が出てくるんですね。これは、おとぎ話の語りべが、たくさん話して喉がかわいたから飲むものをくれ、という意味があるそうです。

最後に、ロシアにはハチミツを使ったケーキ、メダヴィークがあります。ハチミツをつかったスポンジとクリームが層になっていて、スーパーにも売っています。

メダヴィークと紅茶


(市川)

2019年8月31日土曜日

ロシアの民話『カワカマスの命令にしたがって』


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「カワカマスの命令にしたがって」
По щучьему велению
ロシアの民話
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ロシア民話の中で代表的な話の一つに、『カワカマスの命令にしたがって』というものがあります。

物語の主人公はエメーリャという若者で、非常になまけものです。冬になるといつも暖炉の上で寝ているわけです。

「暖炉の上で寝る」というのは状況が分かりづらいですが、ロシア民話ではときどき出てくる表現です。
ロシアの伝統家屋では、暖炉は壁に埋め込まれている形ではなく、大きな台のようになっています。
上には横になれるほど広いスペースがあり、非常に暖かいので、
一家のおじいさんなどが優先して座る特等席なのです。
(チェコのとある物語にも同様の暖炉が出てきました)

なので、その暖かい場所で寝てばかりいるエメーリャは非常になまけものといえます。

このエメーリャは、冬のある日、川に水をくみにいきます。
冬なので川は凍っていて、氷には一か所だけ魚釣りができる程度の小さな穴が開いているのですが、
そこから水をくもうとしたら、ぐうぜん魚のカワカマスを捕まえました。

大きなカマスなので、スープに入れて食べようと考えるエメーリャですが、
そのカマスはとつぜん人間のことばで喋ります。

「命は助けてください。命を助けるかわりに、魔法の言葉を教えます。
『カワカマスの命令にしたがって、私の命令にしたがって』
と唱えれば、どんな願いも叶うでしょう」

カマスの命は免じてやったエメーリャは、さっそく呪文をとなえます。
『カワカマスの命令にしたがって、私の命令にしたがって、
桶の水よ、ひとりでに歩いて家まで帰れ』

すると、水をくんだ重い桶からは足が生えて、持ち運ばなくとも、家へ帰っていくのでした。

このあとエメーリャは、カワカマスの呪文を使って、
例の暖炉ごと街を移動したりするのですが、いろいろあって、
最終的にはお姫様と結婚するところまでのぼりつめます。

なまけものの若者が、魔法ひとつでお姫様のお婿になるわけですから、
エメーリャは実は賢かったのでしょう。

この話は日本では中村喜和先生のロシア民話集に翻訳がある他には、小学館から出ている「なまけもののエメーリャ」(山中まさひこ文、ささめやゆき絵)で読むことが出来ます。ロシアでは誰でも知っている話です。
(市川透夫)

2018年7月13日金曜日

イワン・クパーラ

ロシアでは夏も盛りの夏至(七月頃)に「イワン・クパーラ」というお祭りがあります。

イワンというのはロシアではよくある名前で、英語だとジョン、ドイツ語だとヨハン、フランス語だとジャン、スペイン語だとファンですが、
このお祭りでいうイワンとは、洗礼者ヨハネのことです。
イエス・キリストに水を浴びせて洗礼の儀式を行った人物です。イワン・クパーラは、「水浴びさせたヨハネ」という意味です。

ですが、これはロシア人が、キリスト教に改宗するずっと前からあったお祭りです。
空の神様に祈りを捧げて、豊作や健康を祈る行事でした。
キリスト教が入ってから、どういうわけか洗礼者ヨハネの伝説と、この夏の祭りが結びついて今のような形になりました。

イワン・クパーラでは、水浴びをしたり、キリスト教のお坊さんと一緒に祈りの言葉を唱えたりります。

イワン・クパーラの過ごし方は地域差があるようですが、何日かにわたって行うこともあります。
前日の夜は鬼や悪霊や悪魔がうようよ出て来るから、眠らずに身を守らなくてはならないとか、
シダの花が咲いている地面を掘ると、宝物が出てくるなどといった伝承があります。

しかし、なんといっても代表的なのは、たき火の上をジャンプする夜のイベントです。
誰が一番高く飛べるか競い合ったり、二人でペアになって手をはなさずに飛ぶチャレンジをしたり、盛り上がって楽しそうです。

が、やっぱり危ないことに変わりないらしく、
先ほどもこのブログを書くために、「イワン・クパーラ」とロシア語で検索してみたら、六歳の少年が火に落ちて死んでしまったというニュースが出てきました。

イワン・クパーラといえば、小説家のゴーゴリが『イワン・クパーラ前夜』という小説を書いています(このブログでも紹介しました)。
(市川透夫)

2018年3月20日火曜日

『コサック村のクリスマス』(ゴーゴリ『降誕祭前夜』)


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「コサック村のクリスマス」
Ночь перед Рождеством
作:N.V.ゴーゴリ
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ロシアの文豪ゴーゴリの短編『降誕祭の前夜』を翻訳し、挿絵をつけて本にしてみました。
作業に時間がかかりクリスマスをとうに過ぎてしまいました。



舞台はクリスマス・イブのウクライナの村。
一匹の鬼がやってきて、空にうかんでいる月を盗むところから始まります。

ウクライナの村

ウクライナの娘

この物語はストーリーが複雑なので、内容を手短に書くのは難しいです。
しかし、鬼や魔女、妖術師が引き起こす不思議な展開、ウクライナのゆかいな村人たちは、魅力的です。

魔女と鬼

そして物語の山場で、村からロシアの首都までの何百キロを空を飛んでいくというスケールの大きさもあります。

ロシア帝国の首都ペテルブルグ。エカテリーナ女帝の宮殿(現在のエルミタージュ美術館)。

今でもロシアでは絵本として出版されていますし、モスクワの有名な人形劇場では、子供向けに上演されています。

ゴーゴリといえば『鼻』と『外套』が有名ですが、こんなわくわくする楽しい話も書いてたんですね。

この話は『ディカーニカ近郊夜話』という短編集の中の一つです。
今までも個人的にこの中の話を絵本にしてきましたが、今回は三作目です。
日本では大きな本屋さんに文庫本がひっそり置いてあるぐらいです。これではもったいないと思い、絵本化する試みを続けています。
量産する体制が整えば販売も考えています。

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関連記事:



(市川透夫)

2017年10月28日土曜日

「イワン・クパーラ前夜」

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「イワン・クパーラ前夜」
Вечер накануне Ивана Купала
作:N.V.ゴーゴリ
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ひさしぶりの更新。
今回ご紹介するのは、「イワン・クパーラ前夜」という物語です。

イワン・クパーラという言葉、なんだか響きが面白いですが、これはロシアやウクライナの夏のお祭りです。夜には焚火を焚いて、キャンプファイヤーをやったり、焚火の上をジャンプして飛び越えたりします。

で、そんなイワン・クパーラの夜に、ウクライナの小さな村で起こった不思議な出来事が、この物語です。


村にある日から悪魔が出没し、宝石やお金、お酒などを渡して人々を惑わします。
実はその贈り物はみんな呪われていて、受け取った人は災難に遭います。

主人公のペトローは貧しく、好きだった村娘も、金持ちにめとられてしまいました。
悲しみにくれている中、ちょうどイワン・クパーラ前夜、悪魔が金貨の山をちらつかせて、ペトローに話を持ち掛けるのです・・・

作者はゴーゴリ。連作短編集『ディカニカ近郊夜話』のうちの一篇です。
悪魔、魔女、幽霊、怪奇現象の連続するこの本は、ハロウィーンも間近の今の時期、秋の夜長にぴったりだと思います。

ちなみに、ロシアではハロウィーンはあまり一般的には祝っていません。

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前回、同じ短編集の中の別の作品を絵本にしたことをブログで書きましたが、
今回も絵本にしました。


ウクライナの村の風景。

お祈りする人々。
民族楽器の名前など、難しい言葉には注釈をつけました。

販売の予定はありませんが、何冊か印刷して友達などにプレゼントしようと思います。
展示する機会があればいいのですが。

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ソ連時代に映画が作成されました。Youtubeで見られます
(市川)

2017年3月19日日曜日

ロシアとディズニー

久しぶりのブログ更新になります。
今回は、ディズニー映画『モアナと伝説の海』にからめて、ディズニー映画について書こうと思います。

ディズニーの映画は世界中で人気です。
『アナと雪の女王』のテーマソングも、世界中のいろいろな言語で歌ったのをミックスしたバージョンがユーチューブで聴けて、いかにさまざまな言葉に翻訳されているかということが分かります。

「ありのままの姿見せるのよ♪」で有名な例の歌、ロシア語版ではこうです。

Отпусти и забудь. Что прошло - уже не вернуть.
アトプスチー・イ・ザブーチ。シトー・プラシロー・ウジェー・ニ・ヴェルヌーチ。
「手放しなさい、そして忘れなさい。過ぎたことはもう取り返せない。」

歌詞の内容は全体として、「私はこれから女王になるのだ。過去のことは捨てる。女王になるのだからどんな困難にも負けないよう強くなってみせる」という、たくましいものです。

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もちろんロシアでもディズニーの映画はとても人気です。新作映画は毎年上映されますし、
私がロシアに滞在していたころも、『美女と野獣』のミュージカルを見にいきました。

しかし、ロシアではディズニーの映画が嫌いな人が一定数いるようです。

ロシア人に聞いてみても、ソ連時代はディズニーは公開されていなかったといいます(ただし、ミッキーやミニーのTシャツはあったので、ミッキーマウスモノだけは許可されていたかも)。
ディズニーはもともとアメリカのものであり、そこにはアメリカのあらゆる悪(資本主義、人間の欲望、堕落などなど)が現れているものなので、ソ連では公開されていなかったのではないか...と思うのですが。

ただしソビエトでは、ディズニーに追いつけ追い越せと言わんばかりに、質の高いアニメーションが作られていましたし、どのようなものがあったかはこのブログで過去にご紹介しました。

さて、ソ連が崩壊した現在でも、ディズニーを批判する人というのはいるわけです。
現在、『美女と野獣』の実写映画が公開されていますが、それが賛否両論を呼んでいます。
なんでも、そこにはゲイの男性(と思われる人物)が登場するために、ロシアでは議論が巻き起こったのです。

ロシアでは同性愛者は非常に嫌われていて、性的少数者への差別は公然と行われています。
最近では、青少年に対し同性愛のプロパガンダを禁止する法律が施行されたこともあり、
この『美女と野獣』を公開するかどうかでも、だいぶもめました。

この件をきっかけとして、インターネット上では、ディズニーの悪口を言う人たちも増えて、
ディズニー映画には、ロリコンをはじめとして様々な「けしからん」形の恋愛が描かれている、と非難が現れました。

ロシアにいる私の友達は、この映画を見に行きたいようですが、もしかしたら子供なんかは劇場に入れてもらえないかもしれないなどと言っていました。後で聞いた話だと、子供も入らせてもらえるそうです。

ロシアで同性愛者が嫌われている原因には、宗教的な理由も歴史的な理由もあるので、かなり根が深い問題です。
(市川)