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「何になるべきか?」
1948(ソ連)
原作:V.マヤコフスキー、監督:D.バビチェンコ
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マヤコフスキーの写真はどれもかっこいいです。しっかりポーズなんかとっていて、写真をとるときかなり意識していたと見えます。
実はマヤコフスキーは「子供のための詩」として児童向けにもいくつか詩を残しました。
その一つが「何になるべきか?」(1928)。
これは一人の男の子が、将来どんな仕事をしたいかあれこれ想像を膨らませるという話。
《エンジニアもいいけど、
お医者さんはもっといいな。
僕をお医者さんにさせてください。
子供たちの治療がしたいな。
ペーチャを治しに行くだろう、
ポーリャを治しに行くだろう。
子供たちよ、こんにちは。
具合はどうですか、おなかが痛いのですか...》
職業はお医者さんとエンジニアのほか、大工さん、工員、路面電車の車掌さん、タクシー運転手、パイロット、水兵さん。ソビエトの社会が反映されているみたいでなんだかおもしろい。
ロシア語を勉強していると、初級の教科書によくでてくる単語の一つにエンジニア(инженерインジェニェール)があるので、これを見ているとロシア語の教科書を思い出すわけです。
инженер(インジェニェール) エンジニア、技師
最後は「どんな仕事もいいよ、好きなものを選びなさい」で締めくくられます。
内容は前向きだし、これから新しいソビエトの社会をみんなで建設していこうという雰囲気の作品なので、時代にもあっていたんではないかと思います。
ところでマヤコフスキーの子供向けの詩、筆者がロシアの本屋さんで児童書のコーナーに行ったときも置いてあったのですが、もしかして今の子供にも読んだりするのかなあ。難しそうだし古いと思うのだけど。
この詩は1948年にアニメになりました。1948年というとびっくりします。第二次世界大戦が終わって3年しか経っていない。時代はスターリン体制。まだ強制収容所へ人が連れていかれたような頃なので、どういう意図でこの作品ができたのかとかいろいろ勘ぐりたくなって、作品そのものの面白さ以外が気になります。
アニメの方では、男の子の他に女の子も登場します。女の子の観客にも合わせたことになります。ふつうこういう作品をつくるとき、女性はパイロットよりも花屋さんや学校の先生として描かれる場合が多いと思うのですが、なにぶん原作がかなり男の子っぽいので仕方がないのでしょう。
しかしソ連は女性のエンジニアの話だって聞くし、世界初の女性宇宙飛行士テレシコワが生まれた国でもあるので、職業観が違うのかも知れません。
ちなみにロシアでは、今でも街で路面電車があちこちで走っています。ふつう日本では電車の運転手といえば男性がほとんどですが、ロシアでは女性の運転手がたいへん多いです。
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ソビエトのアニメは、アニメ配給会社ソユーズ・ムリトフィリムが、YouTubeで無料に公開している。
ほとんどの作品が10~20分ほどなので、少しの時間を見つければ気軽に楽しめる。
Кем быть?
→https://www.youtube.com/watch?v=3nJFAzdjBG8
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おまけ
モスクワ市ノヴォデヴィチー墓地にある、マヤコフスキーの墓。
(筆者:市川透夫)
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