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リューベルツィ ~ふつうのソビエト式の町~
Люберцы : обыкновенный советский город
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前回のラーメンスコエにしても、今回のリューベルツィにしても、一般の観光客が訪れることはない、ごく普通の町です。ソ連式の集合住宅が残る以外は、これといった名所旧跡があるわけでもないので、「リューベルツィに行った!」とロシアの人たちにいっても、どうしてそんなところに行ったの?と聞かれることが多いです。
しかしどの町にも何か面白い場所はあるわけで、ことに日本人からすれば、典型的なロシアの町こそ、もっとも興味深いものといえます。
このリューベルツィはモスクワのすぐ隣の町で、電車で30分程度。
ロシアを歩いていると、様々な場所にソビエト時代の遺産を認めることがあります。ちょっとしたところにレーニンの銅像が建っていたり、建築物に共産主義の星の紋章がしてあったりする。
このリューベルツィも、ウラジーミル・イリイチの銅像はもちろんのこと、一般の集合住宅にこんなソビエトのモザイク画がついていて、びっくりするわけです。
よく計算してみると、ソビエトが崩壊したのはもう25年は前のことになるので、今のうちは「懐かしい」で済んでいる話でも、そのうち誰も知らない大昔になってしまうのかと思うと、なんだかつまらないような儚いような。
人類初の宇宙飛行を行った宇宙飛行士ガガーリンは、 子供時代にリューベルツィの学校に通っていたとかで、 こんな銅像が建っています。 人生の中で何回か住む場所を変えたガガーリンは、 いろんな町でそれぞれ「名誉市民」の栄誉を預かっているようです。 |
消防署。「01」は消防車を呼ぶ番号。 |
消防署の横は、昔の消防車の展示。 |
1919年の消防用ポンプ。手動だとか。 |
さて、日本とは違い、ロシアは軍隊を持っていて、何かあれば戦争もするわけです。5月9日はロシアでは戦勝記念日なので、盛大にお祝いします。赤の広場では軍事パレードで戦車やミサイルが出てくるし、方々でお祭りを開いたり、軍歌を歌ったりと、なんだか賑やかです。
8月の終戦記念日をつつましく過ごす日本人からすると、個人的にこの大きなギャップには驚くものですが、外国ではこんなものなのかなと思います。
このリューベルツィは、地図を見てみると、「地区A」「地区B」という妙な住所表記があります。しかも、普通の町なら、通りにも「キーロフ通り」「カール・マルクス通り」「レオンチエフスキー横丁」のように名前があるのに、それもありません。ただ「1番」「2番」…という番号があるだけ。
というのも、ここはもともと、よそからは入れない軍隊の駐屯地だったので、こんな変な住所表記が残っているわけです。
空軍をたたえる軍事プロパガンダ。ここから「地区A」が始まる |
「1」という番号の表示だけ。通りの名称はない。 |
現在は普通の住宅地なので、一般人が居住しています。
町を一回りすると、やがて「ナターシンスキー池」という大きな公園と池が見えます。公園にはいろんな形のモニュメントが並んでいるので、街を歩いて疲れた後は、ここで銅像を見ながら休んでもいいと思います。
夏になると、水浴びの大好きなロシア人が遊んでいる姿があります。
夏になると、水浴びの大好きなロシア人が遊んでいる姿があります。
ほかにもリューベルツィには巨大な新興団地があって、ドーナツ化現象により市民の生活地区が郊外に集まっていることが分かります。
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リューベルツィへの行き方
首都のカザン駅(Казанский вокзал)から郊外列車エレクトリーチカでリューベルツィ1駅(Люберцы-1)まで。所要時間30分程度。
(文と写真:市川)
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