2015年10月16日金曜日

コロームナ ~城壁の内側に町がある~

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コロームナ ~お城の内に町がある~
Коломна : На территории кремля живут люди 
 
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 首都のモスクワから、郊外へ向かう汽車に乗って二時間。車窓に見える景色は、すっかり田舎。
 
 コロームナ駅で車両を降りると、そこは舗装すらされていない土の道。あたりは木造の田舎家ばかりで、ときどき犬が鳴く以外は、人の気配がないほどひっそりしています。
 


お店なのか、やたらいろいろな人形を飾った家。
なんだかすごい辺鄙な場所に来てしまったような気がします。しかし、市の中心へ向かって歩くにつれて、だんだん景色が開けてくるので、不安は解消されていきました。
 
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クレムリン入口。右横には、パンの博物館。
 
クレムリンの城壁。
 
 コロームナには立派なクレムリン(壁で囲まれたお城)があります。モスクワほど大きくはありませんが、巨大な城壁は見上げるほど大きく、とても見ごたえがあります。
 
 ここのクレムリンは城壁の中に、いろいろな教会や、学校、博物館、お店、さらには民家があり、街のようになっています。

 かつてロシアの中世の人々は城壁の内側に家や商店を構えて、暮らしていました。モスクワなどのクレムリンは、すっかり博物館のようになっています。しかしコロームナでは今でも、中世のようにクレムリンで囲まれた地域内に町があるのです。
 
教会が並ぶ、クレムリンの中心部。

民家か、それとも施設か。
いずれにしても、一般人の生活の場らしい。
 

 クレムリン内の博物館ではたまたま、路面電車についての特別展示がしてありました。実はコロームナは路面電車と縁の深い町です。1918年には、電車を敷設する計画が上がりました。そのあと内戦などでストップしましたが、戦争の終わった1948年に工事が始まりました。
 
 工事のときは、なんとすべての市民が駆り出されました。建設者は、市民を役割分担させて、すでにいる労働者への手助けをさせたのです。同じ年のうちに路面電車は開通し、それからも路線は増えつづけ、コロームナの路面電車は発展しました。
 
 
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 コロームナの名物は、「パスチラー」と呼ばれるリンゴを使ったロシア伝統のお菓子。スーパーなどでも売っていますが、こうしたところで売っているパスチラーは伝統的な製法で作られた本格的なもので、色も味も違います。
 
 そして、「カラーチ」という南京錠のような形をしたパン。これは、外側がカリカリしていますが、中はモチモチ。塩味も砂糖もありませんが、とてもおいしいです。
 
 
 コロームナには、街のあちこちに、「パスチラー博物館」など小さな博物館がたくさんあります。クレムリンの門のすぐそばにある「パンの博物館」では、このカラーチの販売をしています。なお展示を見学をするときはガイドの案内付きで、必ず電話での予約が必要なので注意。
 
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◆コロームナへの行き方◆
 
 モスクワ・カザン駅(Казанский вокзал)から郊外列車エレクトリーチカでコロームナ駅(Коломна)へ。所要時間二時間程度。

(文と写真:市川)

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