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アレクサンドロフ ~歴史ドラマの舞台~
Александров
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ロシアの皇帝に、イワン雷帝というのがいます。
カザン征服など有能な面を見せましたが、一方でお妃の死をきっかけに精神を病み、多くの家臣を殺し、数えきれないほどの人々を処刑や拷問にかけた残忍な人物でした。
モスクワのトレチヤコフ美術館には、イワンが息子を殺害する一場面を描いた有名な絵画があります。
そのイワン雷帝が17年間近く居を構え、事実上のロシアの首都ともなっていたのが、アレクサンドロフです。
皇帝が住んでいた16世紀のアレクサンドロフは、リームスキー=コルサコフのオペラ『皇帝の花嫁』の舞台となっています。
この町は厳密に言うとウラジーミル州にあるため、いわゆる「モスクワ郊外」と呼ばれるモスクワ州の町とは違うのですが、それでも電車で2時間程度なので、日帰りは十分可能です。
さて、首都モスクワから郊外列車に乗ってアレクサンドロフ駅に到着し、20分ほど歩くと、目的の博物館「アレクサンドロフスカヤ・スラボダー」が見えます。
壁で囲まれた敷地の中に教会や、展望台、宮殿、博物館があります。見どころはいっぱい。一日かけて残らず見ることをお勧めします。
入口。 |
この年は、10月に雪が降りました。 ロシアとはいえ10月の降雪は珍しいそうです。 |
白い壁が中世の雰囲気を出しています。 中に入ると、映画「イワン4世」の中にあるような、古いお城の造りになっています。 |
昔の時計。 |
小学生が遠足で大勢きています。先生が博物館の中で引率して、なにか説明をしています。前のほうではちゃんと聞いていますが、後ろの列ではふざけていたりして、日本とあんまり変わらない。
展望台から。 |
展望台から(2)。 |
きれいな場所です。 |
敷地の中には木の家があって、そこには猫が住み着いていたり、親切な館員の人に説明してもらえたりします。
ちなみに展示内容自体は、中世から近代まで幅広いので、さまざまな場所を歩き回ってもあまり飽きないと思います。
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博物館から駅まで戻る途中で、偶然、マリーナ・ツヴェターエワの家博物館を発見しました。マリーナ・ツヴェターエワとは20世紀のロシアの詩人で、技巧を凝らした作品で知られます。私は大学では、ツヴェターエワが好きな先生のもとでロシアの詩を勉強し、ツヴェターエワの伝記も読んだのですが、内容をすっかり忘れてしまいました。こんなところで「ツヴェターエワの家」とかかれた看板を見つけ、アレクサンドロフとゆかりがあったなんて、と不意打ちをくらった気分です。
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◆アレクサンドロフへの行き方◆
モスクワ市内・ヤロスラブリ駅(Ярославский вокзал)から、郊外列車エレクトリーチカで、アレクサンドロフ駅(Александров)まで。二時間ほど。
(文と写真:市川)
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